BlackmagicDesignのスイッチャーで経験した故障やバグをまとめてみた


Blackmagic Design(ブラマジ)のスイッチャーはプロ向けの映像製品としては破格の安さで国内外に広く普及しています。
しかし値段のせいなのか、使用率のせいなのか、故障やバグを多く経験してきました。
この記事では自分が今まで経験してきたATEMシリーズのバグを紹介していこうかと思います。


ATEM Television Studio Pro 4K

この機種はXLRのオーディオ入力が圧倒的に故障します。
自分の経験上だけでも3台が故障しています。
オークションサイトにもXLRが故障した筐体がよく出品されているのを見かけます。
故障の原因は不明なのですが、突発的な大音量(大電圧)がかかったときに壊れているように思えます。
別チームから音を貰う際は念のため間に小型ミキサーを挟んで使用するのがオススメです。

ATEM 2 M/E Production Studio 4K

この機種はXLRのモニターオーディオ出力のみノイズが入るといった故障を経験したことがあります。
ProductionStudioやBroadcastStudioのモニターアウトは音声のディエンベッド機能としても使えるので、地味に便利なんですよね。
ちなみにATEMではありませんがHyperDeck Studio Pro 2でも音声出力にノイズが乗るといった故障に見舞われたことがあるので、BlackMagicDesignは音回りの回路設計を不得意としているようです。

ATEM 1 M/E Constellation HD

この機種はLANポートに繋いだ機器との通信がおかしくなる現象を見たことがあります。
コントロールパネルは反応しなくなり、SoftwareControlも認識はするがボタンやメディアのロード等の操作を一切受け付けなくなるといったものでした。
自分のものではなかったのでその後治ったのかどうかは不明ですが以前から頻発しているという話だったのでおそらく故障だったのかと思われます。

ATEM 2 M/E Constellation HD

この機種は一部のSDI Inputポートのみ映像が乱れるという症状に遭った事があります。
そのポートに入った映像は定期的にフリーズしたり、同期が合っていない時のようにフレームがズレたりといった現象が起きていました。
他のポートは問題なかったので、そのポートのみSDI処理関係の回路が故障していたのだと思われます。

ATEM 4 M/E Constellation HD

これは既に修正されていますが、発売当初はSuperSourceの1番でのみ映像が乱れるというバグがありました。
BlackmagicDesignのフォーラムでも報告が上がっており、1ヵ月くらいで修正されました。
ファームウェアアップデートで修正できるバグだったのが不幸中の幸いでしたね。

ATEM Miniシリーズ

これは本当に致命的なバグなのですが、USBでPCと繋いでいると稀にスイッチャーがフリーズします。
ATEM Mini、Mini Extreme、SDIの三機種で経験があるのでおそらく全モデル共通だと思われます。
また海外フォーラムでも報告が上がっているので特定の環境のみでの問題でもないようです。

原因として考えられるのが…
ATEMプロトコル(ATEMスイッチャー本体とコンパネやSoftwareCotrolといった周辺機器と通信するための規格)では繋げた周辺機器と一定期間ごとにお互いがACKパケットというものを送り合うことによって疎通のチェックを行っています。
その一部にシーケンス番号といってACKパケットが送受信された回数を記録したデータがあり、これが整合していないとスイッチャーがバグってフリーズしてしまいます。
自分はATMEのコンパネを開発しているのですが、その開発中に変なパケットを送ることで何度もフリーズを経験しております。
(このATEMプロトコル周りについては詳細をいずれ投稿する予定です)

上記はLANの場合ですが、USB接続でもおそらく同じような仕組みでフリーズしている可能性があります。
ATEMのUSB接続機能はまだ歴史が浅く、バージョン9.5で多数の機能が追加、9.6でMicroPanelへの対応がなされたことなどから未知のバグが潜在している可能性があります。
LAN接続だと今のところフリーズしたことがないので、ATEMとPC等を繋げるときは極力LANを使うようにしましょう。

何かと問題のあるATEMシリーズ

しかしそれを上回る魅力も数多くあります。
僕はこれからもATEMを愛していこうと思います!